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スタッフブログ
2026年03月11日(水)
こんにちは!
株式会社ヴィレッジ インテリアコーディネーター・福祉住環境コーディネーターのK.Kです。
建築巡りシリーズ①
目次
建築が好きで、旅先でもつい建物を見に行ってしまいます。
でもそれは、ただ「かっこいい」からではなく、
空間の中にある“やさしさ”や“工夫”に出会えるから。
何気ない動線や、光の入り方、
さりげなく置かれた案内表示——
そんな小さな配慮に触れると、
「ああ、この建物は人のことを考えてつくられているんだな」と感じます。
その視点は、北摂での住まいづくりにも、きっとつながっている。
そんな思いで、この建築巡りシリーズを始めてみることにしました。
ハンガリー音楽の家の外観。公園の緑とガラスの建築がゆるやかにつながっています。
今回は、ハンガリーの首都ブタペストにある「ハンガリー音楽の家(House of Music Hungary)」をご紹介します。
設計は、2025年大阪・関西万博のシンボルともいえる大屋根リングを手がけた建築家藤本壮介氏。
自然と建築がやさしくつながる空間づくりで知られる建築家の作品です。
大阪・関西万博の大屋根リング。
自然と一体化するようなやさしい建築が特徴です。
ハンガリー音楽の家は、ブダペストの都市公園「ヴァーロシュリゲット」に建てられた文化施設です。
音楽の展示やコンサート、教育プログラムなどが行われる、音楽文化の拠点としてつくられました。
大きなガラスのファサードと、葉の形の穴が開いた特徴的な屋根。
自然と建物がゆるやかにつながるような、やさしい雰囲気の建築です。
そんな空間の中で、私が特に印象に残ったのが「螺旋階段」でした。
螺旋階段は、くるりと回りながら上へ続いていきます。
一段上がるごとに、視界も少しずつ変わる。
螺旋階段は上るたびに向きが変わります。
本来なら、方向が分からなくなっても不思議ではない場所。
けれど、不思議と落ち着いていられる。
わかりますか?案内表示がオシャレ!
アクリルガラスに入った白い案内表示が、
下から上まで一本の線のように通っていて、
どの高さにいても、自然と目に入るからです。
大きく主張するサインではなく、
透明なアクリルにすっと浮かぶ文字。
回転しているのに、
情報はぶれずにそこにある。
だから「迷わない」というより、
なんとなく先がわかる安心感がある。
空間の美しさを壊さず、
でもきちんと寄り添ってくれる。
そんな静かな思いやりを感じました。
この“迷わせない動線設計”は、
住宅の間取りづくりにも通じる大切な考え方だと思います。
ロビーの柱にもさりげない案内がたくさん
外観を支えているのは、これまでにあまり例のない構造とエンジニアリングの工夫。
屋根には直角がほとんどなく、同じ形の部材もほとんどないそうです。
さらに印象的なのが「光の井戸」と呼ばれる開口部。
屋根にあけられた穴から光が差し込み、
最下層までやわらかく光を届けています。
内部にいながら、どこか自然の中にいるような感覚。
光をどう取り入れるか。
それだけで、空間の居心地は大きく変わるのだと実感しました。
屋根の開口からやわらかな光が差し込みます
ファサードはレンガではなく、
94枚のガラスパネルで囲まれています。
一枚一枚がミリ単位の精度で製作され、
まるで“ガラスのカーテン”のように建物を包み込んでいます。
そして、天井には1000枚以上の葉の形をした装飾プレート。
光の変化に合わせて表情を変え、
空間にあたたかさを生み出しています。
屋根の造形は音波のイメージから生まれ、
平行や直角がほとんどない、やわらかな曲線で構成されています。
楽しそうにマップを見る子供たち
大胆なのに、どこかやさしい。
公共建築でありながら、
人を包み込むような安心感がある理由は、
こうした細やかな設計の積み重ねにあるのだと思います。
ここは音楽を楽しむための建物ですが、
外の音やカフェのにぎわいが展示空間に入り込んでくることはありません。
同じ建物の中にいても、場所ごとに空気がすっと切り替わるような感覚。
音が混ざらないことで、それぞれの時間がきちんと守られているように感じました。
床もまっすぐではない?
実はその理由のひとつが、ガラスの壁のつくり方にあります。
ガラスはまっすぐ並んでいるのではなく、わずかにジグザグに配置されています。
こうすることで音の反響をコントロールし、
空間の中に均質でクリアな音響環境をつくっているそうです。
見た目はとてもシンプルですが、
音まできちんと考えられているところに、この建物の丁寧さを感じました。
便利さだけではなく、
見た目の美しさだけでもない。
使いやすく、
さりげなく、
そして心地いい。
思いやりが形になった空間は、
声高に主張しなくても、ちゃんと伝わる。
吹田でのリフォームや住まいづくりにおいても、
私たちはそんな「暮らしに寄り添うデザイン」を大切にしたいと思っています。
建築巡りシリーズは、これからも続きます。
建物名:ハンガリー音楽の家(House of Music Hungary)
設計:藤本壮介
所在地:ハンガリー・ブダペスト
竣工:2021年